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柔らかいから

捻れたのは、
柔らかいからだ。
捻られるのも、
柔らかいからだ。

この世は、
隙間だらけだから、
柔らかい方が
正しいってことだ。

若い俳優が
次から次に現れて、
ドラマが無尽蔵で、
感動が似非に積もる。

柔らかいから、
過去も未来も、
ほんとうは無いのに、
上手く追い込まれる。

振り返らせて、
期待をさせて、
ほんとうは和むのに、
いつしか強かとなる。

一本筋の通る
努力を持って、
柔らかいことを
受け止めてゆこう。

世界を純真な目で
眺めれば、
それ以上でも
それ以下でもなく、
本物の感動に
溶け込める。

捻れたままで、
背中を押さえて、
一人でも、
一人きりでも、
今より前に
向かってゆく。
今より後ろを
許してゆく。

そして、柔らかいから、
また、まっすぐになれる。
ビューティフル、
ビューティフルハーモニー、
令和へ。


# by SBM0007 | 2019-05-01 05:27 | 想い | Comments(0)

また会ったとき

君にまた会ったとき、
君はぼくが変わらないねと
不思議そうに見上げてた。
そんなことないだろうと、
ぼくは頬と頭を触った。

ぼくは君の顔のシワを
充分に見極めてから、
なんて言えばいいだろうと
とりあえず笑顔のままでいた。
もちろん嬉しかったから。

嬉しかったから、
言ってもいいと思った。
ずっと会いたかった、
ずっとどうしているか、
考えていた、会いたかった。

君は少し目を細めてから、
見上げた顔を下に向けた。
君はぼくに逢いたいと
思うことはなかったのかな。
もう子供さんも大きい。

ぼくは君に拗ねていた。
ぼくは君に甘えていた。
ぼくは君に寄りかかっていた。
君はぼくに何を見てたの、
何を感じてたのかな。

やっぱり変わってく。
そりゃ、何年も経ってる。
変わって当然だ。
年も取るし、事情も変わる。
誰だってそうだから。

変わってゆくけど、
出会って嬉しくなれて、
どうにもならない時間を
どうにか受け入れて、
幸せに過ごしてねと祈る。
ぼくもそうだし、
君もそうだし、
みんなそうであればいい。


# by SBM0007 | 2019-04-30 05:55 | グリーンラビット | Comments(0)

烏合の世 2

Mは、目の前に出てくる
霊たちを交わすために、
首を左右に振りながら、
大通りを三丁ほど黙々と
歩き続けた。

← 1

ターミナルから遠ざかるにつれて、
繁華街もさすがに人通りが減り、
見かけるのは、老人ばかりになった。
霊も老人には興味が無いのか、
姿を現さず、Mは漸くゆっくりと歩き、
辺りを見渡すことができた。

今はもうつぶれて
店の看板だけが残るラーメン屋……
その手前の門を曲がればいい。
Mは自分の行き先をわざわざ
思い返し、
その通り、ラーメン屋の門を曲がった。

奥に進むと、
通りの開けっぴろげな様子とは違い、
雑居ビルの間で、狭苦しい酒場が、
薄暗い灯りを灯している。

どの店の看板にも激辛とか激安とか
いう言葉が、塗りたくられていて、
昼間に通りかかるなら、
気分が悪くなりそうなほど、
赤、黄、緑といった原色が
無秩序に使われている。

その界隈のさらに入り組んだ
路地の奥に、
Mが通う、烏合の衆があった。



つづく


# by SBM0007 | 2019-04-29 00:03 | スケッチ | Comments(0)

ネット再臨

何気なく見ていたネットの画面に、
学生時代の先輩が映っていた。
顔も名前も出身地も大学名も、
まさにその人だった。

高校も大学も同じで、
クラブも同じその先輩は、
日本文学の探求者だった。
画面には、その道の先生として
紹介されていた。

いかにも、先輩らしい姿をみて、
探求してきた人は、
やっぱりすごいよなぁと、感心した。

あの頃、先輩は、肩を超す長い髪で、
キリストのような風貌だった。
あだ名もキリストだった。

一緒にギターを弾き、
一緒にハイライトを吸い
一緒に酒を飲んでは、
一緒に夜行列車で旅をした。
ずっと、一緒だったけれど、
先輩は急に、大学をやめていった。
あれから、どこをどう進まれたのか。
そして、また、画面に出逢った。
懐かしい。話したい。

ぼくも、探求しよう。
今からでも、探求しよう。
毎日、少しだけでも、夢に触れよう。
何もしないよりは、ずっといい。
袋小路で神に肖ろうとする、
ぼくが、罪人だとしても。


# by SBM0007 | 2019-04-28 08:57 | グリーンラビット | Comments(0)

残りの夢

おはようございます。
いいお天気になりそうですね。

そうですね。

散歩にでも行きませんか?

いいですよ。行きましょう。

ほんとに?

はい、どこへでもお供しますよ。

じゃあ、残りの春を探しに
いきましょうか。

はい、行きましょう。


# by SBM0007 | 2019-04-28 08:38 | 想い | Comments(0)

そこから

駅の窓から北を眺めると、
ビルの間に山が見える。
この町らしい風景にほっとする。

ときどき、見知らぬ土地に行き、
ビルの間に山が見えなくて、
不思議な気持ち、不安な気持ちになる。

そして、ようやく
この町らしさに気がつく。
この町の素質や才能や性格に気がつく。


この町にいて、
この町らしさはわからない。
たとえ、どんなに素晴らしくても。

この私にいると、
この私らしさはわからない。
たとえ、どんなに愛していても。
どんなに、愛されていても。

だから、
私が自分らしさをわかること。
そこから始まる未来がある。

そこから、そこから。


# by SBM0007 | 2019-04-28 08:38 | 想い | Comments(0)

烏合の世 1

春の宵、ターミナルに近い
繁華街の通りは、
新人歓迎の宴に酔う人で溢れ、
その喧噪は、
他人同士が集う儚さに満ちていた。

通りを歩いてきたMは、
首からぶら下げた御守りを、
シャツの上から確かめて、
足を早めた。

Mの目には、通りの路地や
マンホールから、
のっぺりと這い出てくる
虚ろな霊たちが見えていた。

霊たちは喧騒をばらまく
人々の合間をうろうろし、
気に入った者の体を見つけては、
とり憑いていくのだった。

Mは、目の前に出てくる
霊たちを交わすために、
首を左右に振りながら、
大通りを三丁ほど黙々と
歩き続けた……



つづく



# by SBM0007 | 2019-04-26 23:20 | スケッチ | Comments(1)

千年家

空には高く、鳥たちが舞い、
野には一面、花が咲き乱れ、
人々は長閑に、歌い上げている。

私は山あいのその村で、
体や心の具合が、頗るよくなり、
生まれて初めて、
生きていることの素晴らしさを
実感した。

私が、村長の家を訪ねることに
したのは、
できればこのまま、
村の住人になれないものかと、
許しを請うためだった。

村長の家は、
村を一望できる丘の上に
あった。

千年家と村の人が呼ぶ、
その古い家には、
何事をも包み込んでしまいそうな、
地味な重々しさがあった。
私は、その気配に打ち勝とうと、
引き戸を開け中に入った。

ごめんください。こんにちは。
誰か、おられませんか?
こんにちは…こんにちは…
こんにちは…ごめんくださーい

何度呼んでも、
家の中から返事はなかった。
きっと、のんびりした村の
ことだから、
家人もどこかの家に行って、
話こんだり、歌ったりして
いるんだろう…。

玄関の中は土間になっていて、
大きな釜戸が二つあった。
右側の釜戸に薪がくべられ、
甘辛い醤油の匂いがしていた。

釜戸の匂いと、
パチパチと火にはじける
薪の音だけがして、人の気配は、
感じられなかった。

私は諦めて、引き返すことにした。
釜戸で何が煮られているのか、
気にはなったが、
勝手に蓋を開けるわけには
いかなかった。

今度は、引き戸を開けて表に出た。
あっ。思わず声が出た。
昼間の丘の上に来ているはずが、
時間を飛び越えたかのように、
黄昏の丘にいたのだった。

黄土色の雲が、
ゆっくりと流れていく。
舞っていた鳥が、黒い点となって、
その雲に吸い込まれていく。

咲き乱れる花も、長閑かな歌声も、
もう、どこにも見あたらず、
聞こえなかった。

私は、町から村に来ていた。
それは、生きることの素晴らしさを
実感するためだった。

しかし、村長の家から出て、
黄昏に触れ、実は心ごと
生きていないのだと思った。

それが証拠に、
村長に会うことは叶わず、
釜戸で何が煮られているのかも
知らぬまま、闇を迎えようと
していた。

しっとりとした風が、
私の体をすり抜けていった。
そうか…私は、村の風は、
千年前から、しっとりし続けて
いるのだと気がつき、
仰向けの草になることにした。


# by SBM0007 | 2019-04-26 06:33 | 想い | Comments(3)

誰かに

当たり障りのない言葉を、
ただ、並べるのは、
もう、なるべくしたくない。

誰かに向けて、はっきりと意識して、
これ以上は思い当たらないような
感情や言葉を選びたい。

誰が読んでくれるんだろう。
いつまでも、書けることだけを
書いていても、しょうがない。

読みたいもの、読まれやすいものを
書くために、あれこれ、
悩むべきなんだろう。

今、人々は、何に触れ、
何を得たいのだろう。

資本家の思いのまま、
満たされたような錯覚に、
はまり込んだ人々は、
何を得たいんだろう……


# by SBM0007 | 2019-04-26 06:17 | 想い | Comments(0)

大きな夢

魂胆はなく、いい天気ですねと、
あまり意味を持たない話を、
笑ってできるのが好ましい。

ベンチに座って、
ぼんやり、行き交う人を見て、
日溜まりの葉桜を愛でながら、
たまたま、隣に座った人と、
笑い合う。
それこそが、夢かもしれない。

小さな夢に見えるけど、
実は、大きな夢なんじゃないかな。


# by SBM0007 | 2019-04-25 06:18 | 想い | Comments(0)

好きなところへ

どこにでも好きなところへ。

そう言われて、
どこにも座れないのが、心。
とりあえず座るのが、言葉。


# by SBM0007 | 2019-04-25 06:12 | 想い | Comments(0)

可愛らしい花

可愛らしい。
庭に咲いた小さな花を飾ると、
それは可愛らしい絵になった。

どこでも見かける花だから、
よけいにそうなった。

もう一度、見てみたい。
もう一度、触れたいね。
小さな花が咲いては、
可愛らしい夢を見ていた頃。


# by SBM0007 | 2019-04-25 05:43 | 想い | Comments(0)

またここに

すぐに殴ったり蹴ったりする
人がいる。
怒りなのか何なのか、
それを抑えられない人を見ると、
ここは、自分がいる場所じゃないと、
ぼくは、すぐ余所を向いている。

散りきった桜の枝を眺めながら、
実は、そういう人には罰が
あたればいいと、ぼくは、
願っている。

ぼくは、良い人だと言われないし、
悪い人だとも言われない……
たぶん、そう思う。

誰かをそうやって憎んで、
何も主張しないことも嫌だけど、
桜の花みたいに、
何もなかったように、
風に消えてしまうこともできない。

ほんとうは、自分でやっつけて、
自分もまた、やっつけられて、
敵討ちの連鎖のようなものから
抜け出せないんだ。

桜の季節を見送りながら、
今年も、ぼくはまだここにいる。


# by SBM0007 | 2019-04-23 23:12 | 想い | Comments(1)

円い月

明日は、雨になると聞いたが、
見上げれば、空に雲は無く、
風も乾いていた。

見渡せば、南に円い月が出ていて、
暗いはずの夜道も、青白く
浮かび上がっている。

帰り道、公園を通り抜け、
海に架かる橋を渡ろうとする時だ。
夜なのに、ジョギングをしたり、
犬と散歩をしている人々で、
いっぱいだった。

月明かりの下の日常は、
一人よがりな平和を集めたようで、
心からは馴染めないくせに、
寄りかかりたくなる弾力がある。

砂漠や凍土を染める月は、
今日も残酷な砲弾と火を、
照らしているだろうに。

このまま、橋を渡れば、
尚更、幸福へと入り込んでゆける。
明日の雨も、ただの雨として、
何も憂うこともない。

自由のために、何もしなくなって、
円い月を眺めているのは、
恥ずかしいかぎりだ。


# by SBM0007 | 2019-04-22 23:51 | 想い | Comments(0)

ジヒ深い星 5

異星人たちは揺れている
大地に降り立ち、
その光景をぼう然と眺めた。


あっ、あれは……

←4

人類とタンポポは共存……。
地面にはもちろん、人々の体にも、
大きなタンポポや草木が生えていた。
人々は痩せ細っていたが、
一様に柔和な顔をしている。

おい、行き過ぎじゃないのか?

ジヒを見てみよう。

何かわかったのか?


わかった。これだ……。

装置ジヒにもタンポポが生えていた。
ただ、その根がジヒの中に奥深く伸び、
目盛りを最大にしているとは、
異星人たちも想像していなかった。



おわり



あとがき……

おい、何か聞こえないか?

ん、何も聞こえないが。

いや、確かに聞こえる、
これは……これは歌だ、歌が聞こえるぞ。
あの森からだ……行ってみよう。

おい、待てよ、ジヒの回収はどうするんだ。


異星人たちは森を抜け、
美しい湖の畔にたどり着いた。
大勢のジヒ型新地球人らは、
ところどころで輪になり歌っていた。


わたしは野原のたんぽぽよ
綿毛は不思議なパラシュート
あの雲めざして飛びましょか
それともはるかな丘の上
ふわふわ飛びましょか

月が地上を照らすころ
葉っぱのベッドでひと休み
夢の世界へ行きましょか
夜風が優しく吹くままに
ゆらゆら行きましょか

ふわふわ飛びましょか。
ふわふわ飛びましょか。
ふわふわ飛びましょか。


歌はタンポポたちが
人々の声を借りて歌っていた。
人々が柔和になったことで、
タンポポも歌を歌うことが
できるようになっていたのだ。

異星人たちは、
ジヒの新しい使い方を、
知ることになった……



……慈悲という言葉の
意味を調べてみると、
かわいそうと思うこと、
楽しませようと思うこと、
などがありました。

ずいぶん前から、
このような気持ちが
自分にもあればなぁと、
思うようになっていました。

なぜなら、地球がいつまでも
美しいままであって
欲しいからです。

つまりは、人々が発展を
願っているのなら、
地球を壊すためではなく、
地球を癒すためであって
欲しいからです。

そうでないなら、
人類は発展などしなくても
いいのです。
文明など不要だと
そろそろ言ってもいいのです。

# by SBM0007 | 2019-04-21 23:14 | スケッチ | Comments(0)

眠れましたか

眠れましたか?
今朝、そう尋ねられた。

慢性的に寝不足なので、
すぐに、眠ってしまいます。

いつも、そう言ってきたし、
ずっと、それでしかなかった。

夕べは、夢を見ていた。
床についたままの、誰かの夢。

気になりながら、眠っていた。
つまりは、眠れていなかった。


眠れましたか?
今朝、そう尋ねられた。

目が真っ赤だったらしい。
泣いていたかもしれない。


# by SBM0007 | 2019-04-21 08:36 | グリーンラビット | Comments(1)

ジヒ深い星 4

土地、石油、核兵器、ミサイル、
CO2、そして、宗教など、
それらは大昔の争いの種として、
神話の中にだけ残っていて、
人々はその意味すらわからない。

← 3

一万年たったぞ。
地球を見に行かないか。

そうだな。おまえの言うとおり、
最適化に成功していたら、
驕る約束たがらな。

異性人たちはそれぞれの意見を
主張しあいながら、
ワープし、時空を飛び越えてきた。
そして、地球に到着した。


見ろよ。あの色。
ああ、なんて美しいんだ。
海の青、と陸地は緑、
所々ある黄色はあの花だよ。

うーん、そのようだな。
美しい星になっている。
どうやら、俺の負けだな。
ん?風にしては変な動き方だな。

異星人たちは揺れている
大地に降り立ち、
その光景をぼう然と眺めた。


あっ、あれは……




つづく


# by SBM0007 | 2019-04-19 23:49 | スケッチ | Comments(0)

黄色い月

足早に過ぎる日々は、
今更ながら容赦なく、
胸の言葉が風化する。

時の流れに身を任せ、
ありふれた自分を守っても、
言葉の思いは伝わらない。

あなたにとって、私にとって、
しまい込んだ自分を見つけて、
宵の散歩はどうでしょう。

もう、これで終わりと決めて、
立ち止まらぬように、
私は私を追いかける。

例えばあなたを見つめることも、
私の自分を見つけること。
春の宵、雨が近いような空に、
黄色い月が澄ましてる。

あなたにとって、私にとって、
しまい込んだ自分を見つけては、
宵の散歩はどうでしょう。

見てごらん、見てごらん。
黄色い月が澄ましてる。
これからの、これからの、
不思議な月が澄ましてる。


# by SBM0007 | 2019-04-19 06:26 | 想い | Comments(0)

夢の入り口

時々、甘いものか欲しくなる。
疲れているからかもしれないが、
もともとの、甘いもの好きが、
そうさせているようだ。

実は、先日、子供の頃、
欲しがってたものは何かと
尋ねられて、
すぐに答えられなかった。

夢がなかったわけじゃないけど、
すぐに思い出せなかった。

ただ、大きなガラスの器に入った、
デザートの類を、
いつも欲しがってたのは覚えている。

いくつになっても、
デザートの類を見ると、
気持ちが楽になる。

大人になって、何が欲しいのか、
ますまわからなくなっていくだけに、
そんな単純な欲しがりようが、
もしかしたら、ほんとうの
夢の入り口に
なるのかもしれないと思った。



# by SBM0007 | 2019-04-18 07:08 | 想い | Comments(0)

人間なんて

働いていて、一番嫌いなことは、
最後までやらないのに、
手をかけて、
後の始末をほったらかすこと。

最後までやらないんなら、
途中で止めるんなら、
するなと思うし、
後の始末をしてやめろと思う。

最後までやらない者ほど、
大口をたたく。
自分勝手に仕事を混乱させる。
周りが、たいそう迷惑する。

今日も夜になり、家路についた。
人間なんて、
ららーらーららららーら。
古い歌が頭を流れていく。

誰かの迷惑に乗っかって、
生きていたくない。
首からぶら下がっている迷惑を、
取り外してしまいたい。

人間なんて、
ららーらーららららーら。
また、流れた。
最後まで、最後までやろう。


# by SBM0007 | 2019-04-18 00:07 | 想い | Comments(0)

ジヒ深い星 3

柔らかな綿毛は、
フワフワと風に乗り、その数を増やし、
村から町、町から国へと、
徐々に広がっていった。

←2


綿毛が舞い降りると、
そこにタンポポという
黄色い花が咲いた。
人々はその花を見ると、
優しい気持ちになっていった。

タンポポは、
人々が優しい気持ちになればなるほど、
花を咲かせ、綿毛を飛ばし、
世界中のあらゆる所に広がった。

優しい気持ちに元気づけられた
タンポポは、
初めは留まることのできなかった、
コンクリートやアスファルトにも、
綿毛でしっかりと掴まり、
花を咲かせた。

タンポポを知っている人も、
知らない人も、
まともな人もそうでない人も、
皆、黄色いタンポポの花を見て、
顔つきを変えていったのである。

やがて、人類には、
我が儘で傲慢な人はいなくなり、
すべての人が、優しい人になった。
特に、かわいそうなことを、
人類はしなくなった。

タンポポは、地上を覆い尽くし、
大地を黄色と緑色で柔らかく包んだ。
年老いたタンポポは枯れ、土に返り、
新しい木や草花に姿を変えていった。

こうして、地球環境は保たれ、
一万年の時が流れていった。


土地、石油、核兵器、ミサイル、
CO2、そして、宗教など、
それらは大昔の争いの種として、
神話の中にだけ残っていて、
人々はその意味すらわからない……




つづく


# by SBM0007 | 2019-04-17 00:10 | スケッチ | Comments(0)

春を流して

夢の中の私は、小学校の、
低学年ぐらい。
夕焼けが、もう辺りを
染めているというのに、
一人、公園に立って、
友達と時々野球をする広場を
見ていた。

誰も遊んでいない
広場の上空には、
たくさんの蝙蝠が飛んでいて、
私は一人取り残されたような
気持ちだった…ような。

仕方なく帰ろうとした。
ブランコの前を通りかかる。
風が吹いていたからか、
ブランコが少し揺れた。

私は、そのブランコに座って、
ゆっくりと扱ぎ始める。
背中の方から夕日があたって、
自分の長い影が行ったり来たり。

その様子が面白くて、
私は、誰かに見て見てと言う。
どうやら私の隣のブランコには、
もう誰かが乗っていて、
私と同じ振幅で漕いでいた。

私は、行ったり来たりする
二つのブランコの影を見て、
隣の子が女の子だと知った。
髪をリボンか何かで結んで
いたから。

その子が、何故、隣のブランコに
乗っているのかと、
一瞬、戸惑いながらも、
その子と遊ぶ約束をしたことも、
よく覚えていた。

「一緒に遊ぼ」

私はブランコに揺れながら、
一度だけ、そう言った気がする。

ブランコの振幅は二人とも同じ。
ただ、私が前にでると、
その子は後ろに下がり、
その子が前にでると、
私は後ろに下がってしまう。

真横になるのは一瞬で、
いつまで経っても、
その子の顔が見えないのが
切なくて、苦しい。

声も聞いたような気もする。
何て言ってたんだろう。
ブランコ久しぶりよ…だったか。

それから、いつの間にか、
影が無くなった。
いや、周りも影になった。

日が暮れても、
ブランコは交互に揺れた。
女の子の背中が、うっすらと
見えていた。

私は、女の子の顔が見たくて、
自分が前に出た時、
とうとう、無理やり体を捻って、
振り向こうとした。

ブランコが捻れそうで怖くて、
私は案の定、バランスを失い、
空中に放り出されてしまった。

宙を飛ぶ視界には、
女の子の影が、青い月の光に
浮かび上がるだけ。

私はそのまま、暗い地面の底へ
吸い込まれていった。
どこまでも、どこまでも、
落ちていった。

女の子は、あのまま、
ブランコに揺られているのか。
もう一度、行かなきゃ。
一人になっている……


夢の中に、また戻りたい。
そう思いながら、目覚めると、
今朝は雨が降っていた。

私は雨の音を聞き、
洗い流すなら、
どうか夢ではなく、
この気だるい春にしてと願った。


# by SBM0007 | 2019-04-16 01:09 | グリーンラビット | Comments(0)

それで

走り書きでよかったんです。

書きたいことも、伝えたいことも、
ほんとうは、そんなにないのに、
さも、何かを目掛けているように、
繕ってきただけなんです。

今だってそう。
中身なんて…そんなにないのに、
何かを表に出さなけりゃと、
自分をほじくり返してるだけです。

生まれてきて、生きてきて、
いつしか、一人っきりになって、
壊れた自分を、ほじくるだけです。

いったい、何があるのでしょう。
誰も皆、同じ毎日の中で、
自分より偉く、
人を見るのでしょうか。

走り書きでよかったんです。
それで…よかったんです。

走り書きで、ただ一行、
ぼくは、あなたを……とすれば、
それで…よかったんです。
それで…


# by SBM0007 | 2019-04-15 00:08 | 想い | Comments(0)

ジヒ深い星 2

装置を削除モードから、最適化モードに組み替えたらどうかな……

←1

おまえはいつもそう言うけど、
時間が無いんだぞ。

だから、植物の繁殖と、
人類の最適化を同時にするさ。

密かに地球に着ていた異星人達は、
装置のモードと、そこに仕組まれた、
ある植物の遺伝子を組み替え、
最適化のスイッチを入れた。

彼らは、地球環境を壊さずに、
我が儘で傲慢な人類を、
最適化する装置ジヒを稼働させ、
自分たちの星に帰っていった。




ある晴れた日の午後、
綿毛がどこからともなく飛んできた。
柔らかな綿毛は、
フワフワと風に乗り、その数を増やし、
村から町、町から国へと、
徐々に広がっていった……


つづく



# by SBM0007 | 2019-04-14 10:17 | スケッチ | Comments(0)

よい週末

週末になったら、
自分の時間をいっぱい作って、
愉快な一時を過ごせたらいい。

テレビドラマみたいに、
最後は、とにかく解決して、
優しい町になったらいい。

子供たちが、空に向かい、
両手を広げている風景が、
歌から飛び出してきたらいい。

ゴールデンウィークの頃には、
がんばれることを、
がんばれるようになったらいい。

とにかく、週末になったら、
あなたも、ぼくも、
愉快な一時を過ごせたらいい。

そうそう、そこからでいい。
そこからでいいんです。


# by SBM0007 | 2019-04-14 01:13 | 想い | Comments(0)

ジヒ深い星 1

例えば北極海の氷が溶けていて、
そのせいで海水の循環に
変化が生まれていることは
知ってるだろ。

温暖化だと言われてもう
何十年も経つけど、
結局、環境破壊をくい止めるなんて、
人類には無理なことなんだよ。
環境破壊はできても、
環境破壊をとめることはもう
無理なんだ。

滑り出したあの何万トンもの氷が
再び凍りついていく様子を
想像できるかい?

……難しいな。

だろ。

だから人類と、
人類が作り出したものを、
削除するようにして、
地球の陸地全てに、
繁殖力の強い植物を増やして、
しばらくここから離れよう。
きっと地球の自浄作用で、
一万年もすればもとの
美しい星に変わるさ。

そうか…。
だけど、人類の中には、
まともな者もたくさんいるだろう。

またそんなことを言うのか。
じゃあ、どうするんだ……。

装置を削除モードから、
最適化モードに組み替えたらどうかな……


つづく


# by SBM0007 | 2019-04-13 00:52 | スケッチ | Comments(1)

はぐれた花びら

はぐれた花びらが
道に降り積もっている。
アスファルトなら、
笑う風に吹かれ、
泣く雨に浸かれている。

どこへゆくのか。
萎れくすけた花びらよ。
気づこうとすれば
尚更に見えなくなり、
一人いつもの道をゆく。

どうすると問われても、
こうすると答えられずに、
何に逆らうでなし、
花びらは花びらのまま、
朽ちてゆくものか。

ああ、私も同じく、
あなたにはぐれたら、
もしもはぐれたら、
泣いても倒れても、
私は私のままだろう。

そのときは、朽ちた
花びらを浮かべて、
一片だけはその髪に、
一片だけはその肩に、
想いを降らせたい。



# by SBM0007 | 2019-04-11 23:39 | 想い | Comments(0)

あのね……7

はるさんにまた、こちらの、守れないのは、という詩を朗読していただきました。度々、ありがとうございます。こんなふうに、朗読をしていただけるとしたら、物語のようなもののほうがいいのだろうかと、思ったところです。とにかく今は、あれこれ、なるべく書いてみます。

それから、ごめんなさい、リンクのはりかたがわからないので、はるさんのところ、伝えられてません。書くことと、送信と、いいねと、コメントしか、わからないのです。ほんとに、ごめんなさい。使ってるくせに、わならないことだらけです。

# by SBM0007 | 2019-04-11 00:07 | あのね…… | Comments(0)

桜咲き誇る頃

桜、咲き誇る頃、
秀ちゃんは逝った。

もう一度、会って、
話をしたかった。
ずっとしたかった。

秀ちゃんはいつも
前を歩いていた。
釣りのときも、
虫取りのときも、
川で泳ぐときも、
いつも、いつも、
前を歩いていた。

ついていけば、
いつもちゃんと、
行きたい場所に
たどり着けた。

だから、
秀ちゃんが使った
学生服を着て、
秀ちゃんが使った
参考書を見て、
秀ちゃんが使った
机に向かって、
勉強してきた。

桜、咲き誇る頃、
秀ちゃんは逝った。

もう一度、会って、
話をしたかった。
ずっとしたかった。

だから、前を歩いて
いて欲しい。
やっぱり、
ついていくから。
何年か先に、また
追いつくから。

待っててくれるかな。
秀ちゃん……











# by SBM0007 | 2019-04-10 23:50 | グリーンラビット | Comments(0)

うづき

あれから、ちょっと、
暖かくなりました。

桜は、かなり、
咲くようになりました。

人々は、時々、
薄着になっています。

ところで、ぼくは、
生まれてるところです。

痛いけど、また、
生まれてるところです。


# by SBM0007 | 2019-04-10 23:44 | 想い | Comments(0)